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女性リーダー育成の壁「リーダーになりたがらない」編

女性リーダー育成に壁を感じている?

「女性リーダーを増やすには」という記事を以前このブログに書きました。
この「女性―リーダーを増やす」というズバリのキーワードで検索して、このブログに来てくださる方が多いようです。
ありがとうございます。
それだけ、「どうすれば女性リーダーを育成できるんだろう?」と悩んでいる方が多いということかもしれません。
以前の記事では、そもそも女性リーダーになる「母集団」が少ないんだから限界があること、母集団を増やすには採用の段階で女性を増やすこと、大企業は中小企業を見習って(中小企業の方が女性が活躍しているので)職務のデザインを見直してはどうか、ということを書きました。

悩んだりお困りになっている状況には2つの段階があると思います。

①女性達がリーダーになりたがらない。
②リーダーに抜擢したものの、成果がわかりにくい。

要は女性リーダー登用のbefoer/afterですね。
今日はこのうちbefore「リーダーになりたがらない」について書いてみます。


リーダーになりたがらない理由。

まずは、こちらから。
この傾向は男性・女性関係ありません。
どちらへ伺っても、「リーダーには向いてません」「人を引っ張るなんて一番自分にはできないことです」と言う方が多いのです。
老若男女問わず、です。
リーダーシップ研修の時にはいつも冒頭でリーダーに対するイメージや自分自身の気持ちを話していただいています。
そこから考察すると、リーダーになりたくない理由には次のようなものがありそうです。

①責任を取りたくない
②自信がない
(女性の場合はライフステージが変わった時のことが特に心配)
③リーダーがいてよかった、と思った経験に乏しい
④あの人みたいになりたいというお手本(ロールモデル)がいない

何度も言いますが、こういった言葉は男女問わず出てきます。
では、こういう理由でリーダーになりたくない人たちとどんな対話をしていけばいいでしょうか?
次にわたしなりの答えを書いていきます。

責任を取りたくない・・・。

もう言語道断ですね。(笑)
でも、残念ながらそういう人材に育ててしまったのです。
勝手に育ったのではありません。
もともとそういう資質はあったかもしれませんが、そう育ててしまったのです。
あるいは、過去に責任を取って酷い目に遭った人たちを見てるからかもしれません。
不安から出ている言葉ですから、
具体的にどんな場面を想像しているのか、
どんな責任を取るのが嫌なのか、をじっくり話し合ってください。
案外漠然とした不安にとらわれていることも多いです。
対策としては、組織の内外を問わずリーダーとして活躍している先輩たちと直接話をする機会をつくってみてください。
不安な気持ちを率直に訴えられるシチュエーションが望ましいです。
ついでに企業風土・業務と権限の体系もチェックしてみてくださいね。
将来のことを考えて、人材育成の方法も点検しておくことをお勧めします。

自信がない・・・。

これはですね、もう圧倒的に「知識」です。
経験がないのは当たり前なんです。
何の知識かというと、「マネジメント」と「リーダーシップ」についての知識です。
もう何度もブログに書いていますが、
いったいいつマネジメントについて学ぶのか!?問題があるわけです。
更に
いつ実践するのか!?問題へとつながるのです。
何のツールも持たずに「はい、じゃがんばってね」「いや、不安です。自信ないです」
当然の展開だと思うんです。
キビ団子を持たない桃太郎・・・とたとえたらいいでしょうか。
(こんな話をしたら、あるご担当者に「最近の20代は桃太郎を知りません」と言われましたが。)

マネジメントの知識についてですが、女性は男性に比べてかなり乏しいです。
なぜか。
職場で誰と一緒に行動しているか、が原因です。
男性は男性同士でランチに行く。
男性の上司と男性の部下で一緒に営業先に行く・取引先に行く・会議に入る・・・。
そこでは日常会話と仕事の会話が交わされます。
少しずつマネジメントに関する私見や見解、経験。情報が伝えられます。
体系だった知識でなくても、なんとなく「こんな感じ」というイメージがつくられていきます。
少なくとも「こういう仕事の仕方(=マネジメント)はよくて、あれはだめなんだなあ」といったものが残っていきます。
一方、女性はどうでしょうか。
女性のリーダーがいる職場では、そういうシーンも見られます。
しかし、女性のリーダーが少ない・いない職場では「個人」を通じて、
マネジメントに関する知識が伝えられることはほぼありません。
日本の企業では長い間、男性が主役だったのでその影響で男女で「知識」の偏在化が起きているのです。
解決策として・・・

リーダーを育成したいなら、その前にまず必要な知識を持たせてあげてください。

そして、リーダーになる前に知識を実践するトライアル期間を設定してください。


それから、サポートしてくれる人がいること(いなければつくってください)を伝えてください。



ライフステージが変わった時(つまり結婚・出産・育児・介護)への不安については、
今政府が取り組んでいる施策がもう少しこなれてきたら、軽減されると私は考えています。
楽観的だという指摘があるかもしれませんが、
これはうまくいくまで試行錯誤が続けられるはずです。


リーダーがいてよかった、と思った経験に乏しい・・・。

今いるリーダーたちの再教育を考えてください。
「部長限界説」をご存知でしょうか?
部長になったから限界を迎えるのではなく、
「ああ、やれやれ、部長になったか。もういいだろう。」
何がもういいのかわかりませんが、
自分で自分はもうピークに達したと決めてしまい、
それ以上成長しないという説です。
成長しないどころか、後退する方もいらっしゃいます。
意外とあちらこちらにそういう方はいらっしゃる気がします。
残念ですが。
リーダーシップ育成研修をしていて、受講生を通して上司の方が透けて見えることがよくあります。
「ああ、いい上司のもとで働いてらっしゃるんだな。」と思うこともあれば、
「これは・・・・(気の毒に)」と思うことがあります。
残念ながら、後者が圧倒的に多いです。
「こういう話、まず自分の上司に知ってほしいんですけど。」
とわざわざ言いにくる方もいらっしゃいます。
「卵が先か、鶏が先か、という話をしてても仕方ないので、
知識を手にした人が変わっていけば、組織は変わる」
とお伝えをしています。
でも、それだけでは弱いんですよね。
そこで、最近では目の前にいる方だけではなく、その向こうの方に働きかける研修・周囲を巻き込む研修プログラムをご提案しています。


あの人みたいになりたいというお手本(ロールモデル)がいない

これまた、困りますね。
男女ともによく聞かれる言葉です。
そもそも女性リーダーが少ない・いないんだから、ロールモデルなんて探す方が難しいです。
そういう場合には、一度リーダーシップの変遷をさかのぼることをお勧めします。
ダイジェストでいいのです。
そうすれば、時代と共にリーダーシップの理想像がコロコロ変わることがわかると思います。
「理想像」はあってもいいけど、あったところで変わっていくし、場合によっては足枷にもなる・・・ということがわかるでしょう。

100人いれば、100とおりのリーダーシップがあっていいんです。


理想像や他人の描いた「こうあるべき」に振り回されて、無理しないこと。


自分の強みを発揮した自分なりのリーダーシップをつくること。


特に女性は、ロールモデルのいない今こそ自由なスタイルがつくれます。
だから、「リーダーになるなら今だよ。誰とも比べられないから。」と言ってあげてください。
多くの方がこの言葉を聞いて、ハッとしたように顔を上げるんです。
ほんとですよ。
ある研修での出来事です。
やはりリーダーになりたくない・・・という女性でしたが、研修の最後にこう言って帰られました。
ロールモデル?必要ありません。私がなります。」
飛びついて抱きしめたくなりました。
(しませんけどね。)

1つ1つ不安要素にちゃんと向き合って働きかけたら、応えてくれるというのが私の考えです。
手間暇かかりますけどね。

女性リーダー育成のための研修プログラムはこちらからご覧いただけます。

phronesis-m.jimdo.com



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