人材・組織育成コンサルタント知念のブログ

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女性リーダーを増やすには

先日、平成28年度の雇用均等基本調査結果厚生労働省が定期的に実施)の概要が発表されました。

結果によると、課長職以上の管理職に占める女性の割合は12.1%。
これは、10人以上の企業規模での結果です。

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2020年までに「女性の管理職比率を30%に」という目標の半分にも到達していない・・・。

と書かれた新聞記事を目にしたのですが、私の中では
「・・・当り前だよな。」と。

何故なら、母数が少ないんだから。
つまり、採用の段階で「男性数>女性数」なのです。女性で正社員として働き続ける人が少ない。
中には女性の人数が多い業種・企業もありますが、
ほとんどの企業(特に大企業)は、採用の段階で圧倒的に女性の人数が少ないんです。
平成28年度の雇用均等基本調査結果 には採用時の男女比率が出ているので、そちらを見れば一目瞭然です。

採用時にどんなに性別差をなくせ、と言われてもなくなっていない。
「能力」で採用した結果です、と言われたらそれまでですが、
採用時に暗黙の基準が作用している可能性はありますよね。
結果、こういうスパイラルになっていると思います。

①採用時の男女比率により女性管理職を輩出する「母集団」が小さい
②仕事内容や役割の分担は①の分布(つまり男女のバランス)によって決定される。仕事が男女のバランスでデザインされている。

③母集団はライフイベント(結婚・出産・育児・介護)の到来によって、更に小さくなる傾向がある
④母集団が小さいため、リーダーに適した人材を輩出しにくい
⑤女性リーダーが不在の状態が続く
⑥組織も女性も女性リーダーに不慣れ→当然、外の環境も女性リーダーに慣れていない
⑦慣れてないので、母集団への昇進・昇格への働きかけをしてこなかった

女性管理職を増やすための施策は、②と⑤の段階への働きかけがメイン。
もちろん大事なことです。
ライフイベントを上手に乗り切って、仕事を続けてほしい。
そのために柔軟な就業体制が必要。
それから、とにかく女性リーダーが当たり前になるように数を増やせ・・・と。
そうなんだけど、そもそもなぜ母集団がスタート時から小さいのか。
まず母集団を大きくしないと。

この調査結果、興味深い点があります。
それは企業規模が小さくなるほど女性管理職の比率が高くなること。

企業規模が 5000人以上  6.0%
1000~4999人    4.7%
  300~ 999人   5.3%
  100~ 299人   9.1%
    30~ 99人         14.1%
    10~ 29人         21.7%

 

中小企業で、しかも規模が小さければ小さいほど女性が活躍しているのはなぜか。
それは、女性が普段から大きな戦力になっているという現実があるから。
役職の有無にかかわらず。
データだけでなく、これまでに伺ったクライアント企業を見てても実感します。
業種によって多少の違いはあると思いますが、規模が小さくなる・新しい事業所ほど女性が活躍しているような印象を受けています。
上述したスパイラルの②が中小企業と大企業では異なっているのだと推察します。
慢性的に人手不足な中小企業は、男性が・女性が・・・なんてことを言っていては仕事が回らない。
なので、できる人にできる仕事をやってもらうというスタンスになっています。
そこには性別はありません。
・・・ということを考えると、女性リーダーを増やすには、

・採用段階で女性を増やす
・仕事を再度デザインする

ことが効くと思います。
実際、仕事をデザインし直した大企業は以前から女性リーダーが活躍してらっしゃいますね。

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