人材・組織育成コンサルタント知念のブログ

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人材育成の基本は3つ。

最近気づいたこと。
「人材育成の3つの柱」をご存知ない方、
3つの柱は知っていてもそれぞれの定義や特徴を理解していない方が多いのです。
ということで、今日はその3つの柱:OJT/Off-JT/自己啓発について解説します。

【人材育成の王道? OJT 】

まずは、どこの企業でも行われているはずのOJTです。
正式にはOn the Job Training と言います。
3本柱の中では一番なじみがあって、普段使っている言葉だと思います。

しかし、一番誤解が多い言葉でもあります。
ほとんどの方は「仕事の手順や方法を経験しながら覚えること」と認識されています。
半分正解、半分間違いです。

 

正しい定義は次のとおりです。
「職場の上司や先輩が部下(後輩)に対し、仕事を通じて必要な知識;技術・態度などを身につけさせる活動のこと。

計画的・継続的に行われること。」


計画的・継続的でなければいけないのです。
ここが抜け落ちていると、いきあたりばったりの指導になってしまうのです。

では次にOJTのメリットとデメリットを見ましょう。

OJTのメリット>

  • 指導する側のスキルアップが期待できる
  • 指導することで指導者自身ができていること・できていないことに気づく
  • 指導者は部下に業務を任せることにより、他の仕事に注力できる
  • きめ細やかな指導を受けることができるので、仕事のノウハウを身につけるのが早い
  • 仕事の失敗をリカバーしてもらえるという安心感がある
  • 実践に即した成功体験ができる
  • 組織として連帯感を醸成でき、組織力がアップする
  • 部下のレベルアップがなされるので、組織としてもレベルアップが可能
  • 指導のための会話が起きることで、組織全体のコミュニケーション量が増える


OJTのデメリット>

  • 教える時間がもったいないと思っている人が多く、自分自身の成長に発展しない(教えることが自分の成長になることを知らない)
  • 自分のやり方を主張することで、部下の個性を伸ばせない場合がある
  • 指導する側との相性によって教育内容が左右される
  • 理由や説明がない状態で指示されると、不満や不安を感じ、ストレスになる
  • 指導者によってばらつきが生じるため、指導される側の育成レベルにもバラつきが生じる
  • 人によって指示の方法や業務の伝え方が異なると、混乱する場合がある
  • 人事異動などによって計画的OJTが困難になる場合がある


ここ数年にわたり、多くの企業ではこのデメリットの部分に対する対策を取っていません。
その結果、形だけのOJTが実施され、真の意味での人材育成になっていないと感じています。
また回を改めて、効果的なOJTの進め方について解説します。


【Off-JTは、その特徴をよく知ること】

続いてはOff-JTです。
この言葉は聞きなれない方がいらっしゃるかもしれません。
Off the Jpb Training 、つまり職場を離れてのトレーニングを意味しています。
外部の研修やセミナー、社内での研修などが該当します。
やはりメリット・デメリットがあるので、見ておきましょう。

<Off-JTのメリット>
  • 職場では学べない専門知識を習得できる
  • 日常業務から離れることで客観的に仕事を考え、新たな気づきを得やすい
  • 普段接することのない人と交流ができる
  • 外部の人間からの客観的な評価を得ることができる

<Off-JTのデメリット>
  • 外部に委託する場合は費用が発生する
  • 研修会社・講師・内容の選択が難しい
  • 実務との連携が難しい
     
研修については、デメリットの部分ばかりに注目して「外部講師による研修なんて意味がない」とお考えの方も結構いらっしゃいます。
私に言わせると、「効果のある設計をしていないだけ」です。
研修で効果は十分に出せます。
このお話もまた改めてじっくり書きたいと思います。

 
自己啓発に取り組む人は少ない・・・】
人材育成3本柱の最後は、自己啓発です。
ここでいう自己啓発とは、自主的に自分の能力を伸ばす行動です。
具体的には読書・資格のための勉強・外部のセミナーへの参加などを指します。
優秀な人や仕事熱心な人は、何も言わなくても上手に時間を使ってこの自己啓発に取り組んでいます。
もともと優秀な上に新しい知識や情報を取り入れるので、更にレベルアップしていきます。
企業にとってはありがたい存在なのですが、少数です。
比率でいくとだいたい1~2割程度の方だと思います。
では、残りの自己啓発に関心がない人たちをどうやって動かすか・・・ということが問題になってきます。

自己啓発のメリット>
  • 手段が多様なため費用の低減が可能
  • 自由度が高い(時間・場所・方法・テーマ)
  • 計画を自分で立てることが可能
     
自己啓発のデメリット>
  • 人によっては手つかずになったり、継続できないことがある
  • 組織のテーマや実務とかけ離れた内容になることがある
  • 本人の意思に頼ることになるため、学習の内容やレベルにバラツキが生じる
やはり、デメリットの部分をどうするか・・・という話になるわけです。
「今の時代、自己啓発だ!勉強しなさい。」と言ったところで人は動きませんから、
動かすための仕掛けが必要になってきます。


【人材育成3つの柱を上手に使うには】
以上、人材育成の3つの柱について解説してきました。
大事なことは、それぞれの特徴をよく踏まえて目的に合わせて組み合わせることです。
OJTだけでもだめ、Off-JTだけでも自己啓発だけでもだめなんです。
「組み合わせる」んです。
どのように組み合わせるか、それは企業ごとに変わってきますのでよく考えてくださいね。

 
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