人材・組織育成コンサルタント知念のブログ

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定年の引き上げから超ベテラン層(高齢者)の「働き方」を考える

公務員の定年が現在の60歳から65歳へと段階的に引き上げられるようです。
民間企業でも同様の動きがありますね。
労働力確保のための対策の一つです。
年金給付開始の年齢も引き上げられているため、
定年後も働きたいというニーズにもマッチしています。

今日の日経新聞では、次のような点を報じています。
1.現行の人事制度のまま定年延長すると公務員の総数が増えて人件費が膨張するので、人件費抑制の対策が必要
2.公務員は定年後に再就職することが多く、この制度が普及した場合優秀な人材を囲い込むことになり、人材流動化に歯止めをかけてしまう
3.民間企業で高齢者が働き続けても収入は下がることが多いので、賃金における格差が広がる懸念がある

私は高齢者とひとくくりにしてしまうのが好きではないので、
ここからは超ベテラン層と呼びたいと思います。
(もう少し気の利いた呼称はないものですかね(-_-;))
ここ数年、超ベテラン層の方々向けの教育プログラム策定の依頼がパラパラ・・・やってきます。

定年延長・再雇用・転職等で超ベテラン層の方の働く機会が増えていることを実感します。
しかも組織にとって大きなパワーになってきていて、
多様な人を受け入れる(受け入れざるを得ない・少子高齢化が進み労働力が減っている)状況になってきているのだなあ、とも思います。

ただやはり、20代や30代の人とは分けて考える必要があると思うのです。
多様性を活かし、組織の力にするために。
超ベテラン層の方々を雇用し組織の力となってもらうためには、
次のポイントに考慮する必要があります。

・仕事をする環境の整備:超ベテラン層の方々は経験や知識は豊富ですが、身体の機能は少し落ちてきています。しかし、たいていの職場のレイアウト、使われる道具・オフィス家具・各種事務機器・備品は働き盛りの世代の方向けのもの。
安全な環境を心がけていても、超ベテラン層の視線に立ってもう一度見直す必要があります。

・職務の再設計:超ベテラン層の方の持っている知識や技術を活かしていただき、なおかつ身体機能の低下が影響しないような職務内容・範囲を定める必要があります。
能力の再開発も効果があります。

・柔軟な就業体制:超ベテラン層といっても、様々な方がいらっしゃいます。30代や40代の方よりも健康で元気だからフルタイムで働きたい人、できたら短時間の仕事にとどめたい人・・・。短時間勤務・フレックスタイム制等、柔軟な就業体制を整えることで対応が可能です。

・モチベーション:よく聞くとっても残念な話があります。
超ベテラン層「組織に残ってもたいしてやることはないし、給料は前よりずいぶん下がったし。ただ職場に毎日行くだけ。むなしい。やる気なんて起きない。」
管理職「再雇用制度で来てもらってるけれど、まったく動いてくれない。こちらが何を言っても、聞く耳持たず。やりにくい。」
上にあげた「職務の再設計」ができていないと、こういう悲しい状況になりがちです。
職務の再設計までいかなくても、知恵や技術の伝承という大事なミッションがあるではないですか!?そのことについて話し合う機会を設けてください、管理職の方があきらめてはだめです、といつもお伝えしています。
卵が先か、鶏が先か、みたいな話をしてても意味ないですよね。
誰かが口火を切らなければ、状況は変わりませんから。
実はこのモチベーションが超ベテラン層の方々にとっても、組織にとっても一番大事なものだと考えています。

・・・ということで、超ベテラン層の方々に組織で力を発揮していただく「働き方」について書いてみました。
経験豊富で若年層よりも柔軟な考え方ができる人材です。
上手に活用できるかどうかは、どのように働いていただくか(つまり、組織がどうデザインするか)がキーになりますね。